建造物を撮る際、垂直・水平を正確に出すには、まず水準器を目安とします。
ただし、バブル水準器やボディ内水準器は「遊び」が大きく、厳密な精度は期待できません。
そのため、水準器で大まかに整えた後の最終的な追い込みは目視で行う必要があります。
以下ではその方法を説明します。
ここでいう「ピッチ」はカメラの前後の傾き、「ロール」は左右の傾き、「パン」は水平方向の回転(振り向き)を指します。
A. 任意の角度から撮る場合
対象に正対しない限りは水平基準が存在しないため、画面上の「水平線」は建物の構造とは一致しません。
したがって、撮影時の基準は「垂直線」となります。
まずファインダーやライブビューで、画面内の任意の2本の「建造物の垂直線」が平行に見えるピッチを探します。
縦の2本の線がハの字やV字にならないことです。
なお、左右端の線はレンズの歪曲の影響を受けやすい点に注意が必要です。
次に、ロール方向(左右の傾き)を、垂直線がグリッドに沿うように調整します。結果、正確な垂直線が得られ、画面全体が安定して見えるようになります。
なお、水平線が明確な場合は、先にロールを合わせて水平を確保したうえで、ピッチを追い込む手順を取ることもあります。
ロールが絵を傾かせ、ピッチが絵を歪ませる。ほんのわずかな違いが、建物の印象を大きく左右します。
垂直を追い込む。これは建築写真の基本となります。
B. 建造物を真正面から撮る場合
建造物を真正面から撮る場合は、垂直線に加え、建物の水平線(屋根や基壇など)が画像内で水平である必要があります。
この場合は、Aの手順でピッチとロールを整えた上で、さらにパン(左右の回転)を調整し、建物の水平要素がグリッドの平行線と一致するようにします。
C. 中心軸を画面中央に収める場合
建造物を真正面から撮り、かつ建物の中心軸を画面中央に正確に収めるためには、三脚(カメラ)を据える位置が建物の軸に対し中央である必要があります。
したがって、撮影前にカメラ位置を確認し、正対できる立ち位置を探すことが重要です。
正対位置を確保できない場合は、シフトレンズによる左右方向のシフト、またはさらに広角で撮影してトリミングするといった対処を行います。
シフト操作は、窓やガラス面への自身の写り込みを避けたい場合にも有効です。
このように、撮影位置とカメラ姿勢の両面から調整を行うことで、建物を正確かつ安定した構図で捉えることができます。
慣れてくると、ピッチとロールをある程度同時に素早く操作できるようになります。
しかし、これらの工程をいかに正確に行うかが、仕上がりに大きく影響します。